Kepler超新星残骸中の鉄の非等方な膨張構造

春日(M2)を筆頭著者とする論文
“Asymmetric Expansion of the Fe ejecta in Kepler’s Supernova Remnant”
が、日本天文学会の欧文研究報告誌 Publications of the Astronomical Society of Japan (PASJ) に受理されました。
arXiv: https://arxiv.org/abs/1807.04029

超新星爆発の残骸中では、爆発時に噴出した重元素が秒速 1,000 km/s から 10,000 km/s の速さで飛び、X線で輝いています。特に鉄は星の内部の核融合の最終段階で生成されるため、超新星残骸における鉄の運動状態を測定することで超新星爆発そのもの爆発時の情報に迫ることができます。春日らは、Ia型超新星残骸のひとつであるKepler超新星残骸を観測したChandra衛星のデータを解析し、K輝線の中心エネルギーや輝線強度から、X線で光る鉄の塊が場所によって手前側のみや奥側のみといった偏った方向に飛んでいることを発見しました。本論文ではこの観測結果を、非対称な星周物質の分布・残存した伴星・超新星爆発そのものの非対称性、の3点からそれぞれ議論しています。