萩野助教が主著の論文“Structured ionized winds shooting out from a quasar at relativistic speeds”がNature誌からオンラインで出版されました。この論文では、優れたX線分光能力をもつX線観測衛星XRISMを用いることで、巨大ブラックホールから光速の30%もの速度で噴き出される超高速アウトフローが、予想外に複雑な速度構造を持つことを世界で初めて発見しました。この複雑な速度構造は、アウトフロー内部の物質分布が、従来考えられていたような一様構造ではなく、非常に非一様なぶつぶつとした (clumpy) 構造であることを意味しています。このclumpy構造を考慮すると、アウトフローの運動エネルギーは過去の推定よりも遥かに大きく、従来考えられていた銀河とブラックホールの共進化の理論モデルでは説明できません。これは、共進化という宇宙物理学最大の謎に大きなインパクトを与える極めて重要な結果です。
論文はこちらになります。また、一般向けにより詳しい解説がありますので、JAXAプレスリリースや東大理学部プレスリリースもご覧ください。